薬指の約束は社内秘でー婚約者と甘い生活ー【番外編】
「あっ、それはね」
実は今回、式場を手配できたのは、優生の知り合いの口添えがあったからだった。
そのことを美希ちゃんに伝えようと口を開きかけた、そのとき。
のんびりした中年男性の声が近くから届いた。
「これはこれは、どこの綺麗なモデルさんかと思ったら、藤川さんだったのか」
名前を呼ばれた私が反応するより先に、美希ちゃんが背後を振り返る。
「えぇ!? 松田課長がなんでここに!!」
驚きのあまりゲホゲホッとむせ始めた彼女の背中をさすりながら、私も目を見開いた。
松田課長は優生の亡くなった父親の友人で、私と美希ちゃんの上司だった人だ。
数ヵ月前。依願退職した彼は、静岡県にある実家に住居を移していて、その町は偶然にも私の実家の隣町になる。
実は今回、式場を手配できたのは、優生の知り合いの口添えがあったからだった。
そのことを美希ちゃんに伝えようと口を開きかけた、そのとき。
のんびりした中年男性の声が近くから届いた。
「これはこれは、どこの綺麗なモデルさんかと思ったら、藤川さんだったのか」
名前を呼ばれた私が反応するより先に、美希ちゃんが背後を振り返る。
「えぇ!? 松田課長がなんでここに!!」
驚きのあまりゲホゲホッとむせ始めた彼女の背中をさすりながら、私も目を見開いた。
松田課長は優生の亡くなった父親の友人で、私と美希ちゃんの上司だった人だ。
数ヵ月前。依願退職した彼は、静岡県にある実家に住居を移していて、その町は偶然にも私の実家の隣町になる。