薬指の約束は社内秘でー婚約者と甘い生活ー【番外編】
なんとなく、そうなのかもって思ったけど。
まさかの可能性も考えてしまい、この先の展開を考えるとヒヤヒヤしちゃったし。

「あぁ。冗談……ですか」

美希ちゃんと揃って苦笑いを浮かべると、ゆりえさんは少しおどけた様子で肩を竦めた。


「ふふっ、ごめんなさいね。だけど二人とも、ちょっと驚きすぎよねぇ。確かに私は、おばあさんだけど。まだ恋は現役のつもりなのにねぇ……」

いたずらっぽく笑ったゆりえさんに、「やれやれ」と松田課長はわざとらしくため息をつく。

すると、彼女はそれまでに見る一番綺麗な笑顔で続けた。

「冗談なんかじゃないわよ? だって私――。この命が燃え尽きるまで、ずっとあなたに恋してるもの」
< 26 / 95 >

この作品をシェア

pagetop