薬指の約束は社内秘でー婚約者と甘い生活ー【番外編】
多忙な愛子さんの手によるオーダーメイドなんて悪いよね。
申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
でも、そんな私の心を読み取ったかのように、ゆりえさんはにっこり微笑みかけてきた。
「一度引退はしたんだけどね。優生のお嫁さんになる人には、私が作ったドレスを着て貰えたらなぁって思ってたの。婚約者の名前が、藤川 愛さんって聞いちゃったら余計にね」
そこで含みのある笑みを浮かべたゆりえさんに、少し照れくさくなってしまう。
でも、そこまで言ってくれた彼女の言葉に甘えようと思った。
そのあとは店でドレスの打ち合わせをしてから、松田夫妻と店先で別れた。
結局、長時間付き合わせることになってしまった美希ちゃんに、近くにあったカフェでケーキセットをご馳走してから、ふたりで表参道をぶらぶらする。