薬指の約束は社内秘でー婚約者と甘い生活ー【番外編】
『実はね。私の優生の第一印象は、なんて可愛げのないガキなんだろうって思っていたの』
優生が幼い頃。
彼の父親が事故で他界し、仕事で家を留守にすることが多かった母親の代わりに、幼い彼の面倒を見てくれていたのが松田夫妻だったという。
『だって、5歳なんて。まだまだ母親に甘えたい時期じゃない? それなのに、文句の一つも零さず大人の事情を分かってます的な優等生面がね。自分でも酷い大人だって思うけどね、可愛くないって思っちゃったの』
でも、ある出来事から彼女の考えは一変することになる。
昼寝をしていた優生の掌に、複数の傷があることに気付いたという。
『大人の事情を分かってたんじゃなかったの。分かろうと必死で、寂しくて泣きわめきたい気持ちを抑えて、親指を強く握りしめて出来たのがあの爪痕だったのよ』
優生が幼い頃。
彼の父親が事故で他界し、仕事で家を留守にすることが多かった母親の代わりに、幼い彼の面倒を見てくれていたのが松田夫妻だったという。
『だって、5歳なんて。まだまだ母親に甘えたい時期じゃない? それなのに、文句の一つも零さず大人の事情を分かってます的な優等生面がね。自分でも酷い大人だって思うけどね、可愛くないって思っちゃったの』
でも、ある出来事から彼女の考えは一変することになる。
昼寝をしていた優生の掌に、複数の傷があることに気付いたという。
『大人の事情を分かってたんじゃなかったの。分かろうと必死で、寂しくて泣きわめきたい気持ちを抑えて、親指を強く握りしめて出来たのがあの爪痕だったのよ』