薬指の約束は社内秘でー婚約者と甘い生活ー【番外編】
ショルダーバッグからキーケースを取り出すのも、もどかしい。
バッグをその場にぶちまけてしまおうかと思った、そのとき。

「姉ちゃん。帰ってたのかよ」

ドアが開くのと同時に、彫りの深い顔立ちの男性が姿を見せた。

「なんだ……大地か」

「なんだって。かわいいい弟がわざわざ会いに来てやったのに、冷てぇな」

あからさまにがっかりした顔になっていたのか、不満気な声を漏らした大地は、「なぁ。そう思わねぇー?」と室内を振り返る。
ドアチェーンをかけながら大地の視線を追うと、目に入った姿に息を呑んだ。




それから30分後。
テーブルに一度では乗らないほどの料理は、大地がほとんど平らげてしまう。

「あぁー。食った食った」


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