薬指の約束は社内秘でー婚約者と甘い生活ー【番外編】
でも、普段はうるさく感じる大地のおしゃべりも、今日は助かるな……。

そう思ってしまうのは、父と私の間に会話らしいものが、まだ何もないから。

食事中は、『口に入ったものが飛ぶから黙って食ってろ』と言っている父も、大地の笑えないノリツッコミに何も言わずに、ビールが入ったグラスに口をつけるだけだった。

喧嘩とまではいかないのかもしれないけど、お父さんにあんなふうに食ってかかったのは、ずいぶん久しぶりな気がするな……。

それにしても、どうして突然会いに来たんだろう?


父が食事を作っている間に、こっそり大地に聞いてみたけれど、『それは親父から話す』と言って教えてくれない。

だから、何をどう切り出していいのかわからず、父と私の間に流れる気まずい空気は、それから30分経った食後のお茶タイムに入っても変わらずだ。
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