薬指の約束は社内秘でー婚約者と甘い生活ー【番外編】
「どうかな。私……変なとこない?」

私に気づいた優生がエントランスを出たところで、聞いてみる。
すると、黒いコートを羽織った優生が「ふっ」と意地悪に笑い、彼の吐いた息が一瞬で一月の冷たい風にさらわれてしまう。

今日も寒いなぁ……。

いまにも雪が舞い降りそうな曇り空を一瞬仰ぐと、耳を疑う言葉が届いた。


「変って言うなら全体的に変だろ。顔が特に」

「えぇ!? どうしようっ……って。顔!?」

それは、今更変って言われても、変えられないんですけど!?

軽くショックを受けていたら、ひんやりとした指先に右手を取られる。
伏せ目がちに見下ろしてきた優生が、柔らかく笑った。


「緊張しすぎ。婚姻届を出すだけなのにな」
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