薬指の約束は社内秘でー婚約者と甘い生活ー【番外編】
なんて答えたらいいのかわからず小さく頷くと、「ふっ」と吐息を吐き出され、僅かな間を置いてから唇を塞がれた。

唇を軽く押しつけるような、触れるだけのキス。

いつもは啄むように何度かキスを重ねるのに、それだけで引き離されてしまう。
短い触れ合いが終わり、そっとまぶたを上げたら、至近距離で視線がぶつかる。

左の頬にそっと手が添えられた。

「ここにも……いい?」

くぐもった声は妙に色気を放っていて、肌がゾクリと粟立つような感覚に襲われる。
今度は頷くことも出来ずにドキドキと心の音を響かせていたら、伏し目がちに顔を寄せられ、優しいキスが頬に落ちてきた。

柔らかい唇が頬を掠めて、すぐに離れていく。
ほんの一瞬触れただけなのに、ものすごく熱っぽく感じてしまうのは、いつもと違うキスのせいだろう。

やっぱり、こんなキスの仕方……恥ずかしいよ。

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