薬指の約束は社内秘でー婚約者と甘い生活ー【番外編】
負けを認めるように口を尖らせると、「これから先も、ずっとな」と意地悪に呟かれる。
そんな言葉とは裏腹な優しいキスが、そっと唇に落ちてきた。



そのあとは、自然の流れでベッドルームに移動した。

照明の落ちた室内でキスを交わし、抱き合いながら体がベッドに沈んでいく。
どちらともわからない吐息が漏れ響き、呼吸が苦しくなるとそっと唇が離れて、上から組み敷く優生に優しく髪を撫でられる。

至近距離で見つめあって、引き寄せられるようにまた触れ合って。

甘い吐息が部屋中に満ちていく。

たくさんのことがあったけれど、いまこうして優生の鼓動を感じる距離にいられることが、露わになった肌を滑らせるマリッジリングの感触が、幸せの熱で体を温めてくれる。

ベッドルームに移動する前、『やっぱり今日だけはしたいかも』と私からの提案でお互いにマリッジリングを指にはめていた。

優生の骨ばった薬指のマリッジリングが、緩やかに弧を描くように体を滑らせていく。

ひんやりとした指輪の感触が、時折くすぐったくて体をよじると、それに気づいた彼が私の首筋から顔を上げる。

「……指輪っ。悪い」


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