薬指の約束は社内秘でー婚約者と甘い生活ー【番外編】
何かを言いかけて口をつぐみ、そのまま視線を流した優生に、「どうしたの?」と椅子から立ち上がる。

頭の上にふわりと掛けられたウエディングヴェールにそっと触れた優生が、ポツリと言った。

「やっぱり、写真で見なくてよかったな」

「えっ」

なんのことだと、首を捻る。
すると、一歩近づいた優生に優しく腰を引き寄せられた。

「すごく……綺麗だ」

まっすぐ届けられた言葉が鼓膜から体の芯まで響くと、目の奥がジンッと熱くなる。
ゆりえさんが手がけてくれたドレスは、腰の位置に大きな薔薇がポイントにある華やかなものだ。

でも彼が言っているのは、ドレスのことだけじゃないってことくらい、向けられる柔らかな笑みが教えてくれる。
心を打たれて声にならずにいると、顔を傾けてきた優生がそっとまつげに唇を寄せてきた。

それは、ほんの1ミリ、触れたかわからないほどのキス。

風に吹かれた綿毛がそっとまつげに落ちてきたような触れあいに、胸の内側が微かに震えてしまう。

唇を離した後、彼は呟くように言った。


「また、後でな。意外と俺も……抑えられないよな」

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