青空の下月夜に舞う
私の声に。
髪を拭いていた手が止まった。

ん……?祐也……?


タオルの隙間から見えたのは。

軽く息を吐いて。
ほんのり口角が上がった、穏やかな口元。



「ま、お前じゃ響くんが欲情しねぇよな。つか、泣くなよそんくらいで。確かに響くんはカッコいいけど」

「違うし。そんなんで泣いてないし」




そう。
止まらなかったのは――――――涙。


耳を舐められただけで。
ある意味ここまで興奮しなくても、と思うだろうけど。

嫌だ、とか。
怖い、とか。


自分本意過ぎるとは思うけど、響に対して抱く感情は言葉では現せなくて。


涙が溢れたのは、条件反射みたいなもの。


それに……

パサ、と落ちたタオル。
祐也のいつもの顔に安心する。


「あんたのバカみたいな顔と、絶対に自分じゃ恥ずかしくて出来ない赤頭が、私に安心と安らぎをくれるよ」

「てめぇ、今本当に泣いてたのかよ」


膝立ちで、少し高い目線。
自然と目尻が垂れた。
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