偽フィアンセは次期社長!?
大事な身体、下に落とす訳にいかないし、でも……きつい。


元々の身長差がある上に、意識のない人間の身体ってのは、妙に重い。


那由子がどんなに細くても、この状況では通用しない。


あたしの必死の声かけは、丁度那由子の肩で塞がって、周りには気づいてもらえないみたい。



那由子、しっかりして、どうしたの?


それとあたしも、そろそろ限界……



支える腕がぶるぶると震えだす。


残った消しゴムはんこの入った紙袋が余計な重みを加えて、あたしの腕にぶら下がっていて。


いくら声を掛けても、那由子の身体はびくともしない。



「那由子!!!しっかりして!」


もうダメ、誰か助けて……。




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