偽フィアンセは次期社長!?
急にふわ、と身体が軽くなる。


那由子を支えていた腕が行き場を失い、視界が明るく広がる。


「おい何やってんだよっっ」


…………え?なんで……?


見上げた視界に映ったものは。


那由子を抱えて、怖い顔をしている……松田課長。


「課長……何やってるんですか?」


「俺の台詞だっつーの。どうすんだよ、どうしたんだよこの子」


あ、そうだった。


課長が今何でここにいるかとかどうでもいい。


那由子、那由子は大丈夫?


「急に気を失ったみたいで……どうしよう、どうしましょう」


「……どうしましょうって……とりあえず病院だろ、お前荷物まとめろ!ここの手続きとかはいいのか?」


「もう、退出するとこだったので、あとは帰るだけです……」


「じゃ。ほら、持っていくもの全部持て、行くぞ」
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