偽フィアンセは次期社長!?
泣きそうなあたしと、険しい顔つきの課長の間に、壁を隔てた向こうから笑い声が降り注ぐ。


あーあ。

課長に聞かれちゃったよ。ただの噂だけど、あたしがあんなあいつを好きだったのは本当な訳で。


あーあ。


……なんで、好きだと、自覚した途端にその人と一緒にこんな話を聞かなくちゃいけないの……。


「よし、行くぞ」


不意に、腕を掴まれる。


「……へ?」


「一回やった事あんだからお手の物だろ。お前の演技は俺のお墨付きだ!」


ぐいっと身体が動く。


ちょ、どこへ……まさか……。


「演技って、まさか……」


「はーい、にこにこにこにこ!!」


どこかで聞いたその台詞。
< 276 / 347 >

この作品をシェア

pagetop