偽フィアンセは次期社長!?
「折角、二人でイイコトしようとしてたのに、なぁ?」


「……!!」


そりゃいくらなんでも、と課長を睨み付けていると、


「……え?課長の、フィアンセ……って……」


柳瀬先輩の声が震えているように聞こえる。そりゃ驚くよね……大丈夫、デマですから。


「睨むなよー、仁美。会社の片隅で襲いかかるようなセンスない真似するわけないだろ?」


……あ。


偶然とは言え。なんかちょっと嬉しいかも。だって、


『会社の片隅で襲いかかるようなセンスない奴』


が、ばつの悪そうな顔をしている。


そうよ、あんたはダサいことをあたしにしたんだ。


顔面蒼白の受付嬢も……こんな顔だったっけ?ってくらい、酷い顔であたし達を代わる代わる見ていて。


「さ、戻るか」


ぽん、と柔らかく腰に手を当てられ、給湯室をあとにする。
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