偽フィアンセは次期社長!?
『なんなんだ、コラ、おーい』


手元のスマホからは、何だか聴こえているけれど、あたしは、とにかく急いでその背中に向かって走り出す。


大きくて、頼もしく見えたり怖く見えたりする背中。


思わず、抱きついてしまう。


会えた、会えた、会えたーーーっ!!


ふわん、と鼻先に知っている優しい香りが拡がる。


「っは?!何?!何お前!!!!」


頭の上のうんと遠くから、課長の驚いている声が聴こえて。


あ、と我にかえる。


何やってんのあたし。見つけた嬉しさで思わず抱きついちゃって。


急に恥ずかしい。


「……あかずきんちゃん、お久しぶり」


向き合って言われて、初めて気づく。


あたし、ずーーーっとこの″あかずきんちゃん″でここまで来ちゃったのね……。
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