【短編】雨上がりのキスは傘に隠れて。
「なぁ、一度しか言わねぇからよく聞け。」


私を更にギュッと抱きしめたまま和久が言う。


そりゃ、遅い時間だし人通りも少ないけど、このシチュエーションヤバくない?


「俺はお前の事が好きだ……。」


「えっ……?」


「えっ…じゃねぇだろ?普通気付くだろが。」


いやいや、気づく方が難しくない?


「ちょっと…分かりづらいかと……」


だって、和久とは最近、会ってなかったし今日だって偶然じゃん。


「お前、それマジで?俺、お前の事、ただの幼馴染みなんて一度も思った事ない。」


「いやぁ……そう言われましても……」


「お前、喋り方変。」


そう言いながらも、まだ私を抱きしめる手を緩める気配はない。


するとーーー


「やっぱ、止めた。」


と、和久。


「えっ?ど、どういうこと?」


「だから、さっき一度しか言わねぇって言ったけどあれ、止めた。」


「はあ……」


「やっぱさぁ、何度でも言う。お前がちゃんと俺の気持ち分かるまで何度でも言うから。よく聞け、俺はお前の事が好きだ。好きで好きでーーー」


そこまで言うと、漸く私を開放し顔を覗き込む和久。


「……たまらなく好きなんだ……」


おでこをくっつけられ、唇が触れそうな距離で和久が言う…。


「もう、お前を誰にも渡したくないんだ。俺の側にいろ。ずっと……」


何か言わなきゃと思うのに言葉はあれこれ頭の中に浮かぶのに……


何一つ言う前にその唇を和久に塞がれてしまった。




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