蜀宮廷日記
真由姫は最後尾に向かってかけた・・・。


あともう少しのところで


「安国様」


という声がした。


見るとそこには


あの春蘭がいた。


「春蘭・・・。」


「安国様、前に乗ってもいいかしら?」


どうやら、春蘭は関興と一緒に馬に乗るつもりらしかった。


「あ、ああ」


何とはなしに関興は了承し、前に載せてしまった。


一部始終を目撃した真由姫は一瞬立ち尽くした。


が、自分の前を関興達が通りすぎるだんになり、いてもたってもいられずに、駆け出していた。


涙が頬を幾筋もつたった。


“私は何をしてるんだろう”


泣きじゃくりながら、走る真由姫。


劉禅や敦姫たちが気づいて


「ま、真由ちゃん。真由ちゃん、待って。」

追いかけるが真由姫が無我夢中で走っているために追いつかない。

遂には宮廷のそばの壁まで来てしまった・・・。


「う、ううう・・・。」


壁にもたれてただずむ。


涙が溢れ出て止まらなかった。


劉禅と敦姫がやっと追い付いたものの、声はかけられずに、ただ立ち尽くすのみであった・・・。
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