【退屈と非日常】(仮)
服装もいつもよりきちんとして、ブラウスに膝丈のスカートにローファー(学校指定)なんてものにしている。
「よし」
なんだかんだ言って何度目かの「よし」を口にする。いや、初めてのことだと本当に緊張してしまうのだ。私のあがり性は正直半端ない。店の中を覗いてみると、まだオープン前で商品も陳列されていないコンビニというのは淋しいものだった。
本当にここにオープンするのだろうか、看板はあるがガランとしている店内の物寂しさったらない。
恐る恐る扉を開き、こんにちは、と声をかける。
時間を置いて、事務所と思しき扉が開いた。
眼鏡を掛けた冴えない風貌のオジサンを予想していたら、その予想はあえなく覆ることになる。
中から出てきたのは背丈は170より少し高いくらいだろうか、縁のない眼鏡を掛けた優男風の、知性と育ちのよさを漂わせたお兄さんだった。
しかもコンビニ店員らしからぬ、スーツにネクタイ姿だった。
家の近所のコンビニだといつも人の良さそうなおじさんが店長で切り盛りしているイメージがあるから尚更このスーツ姿のお兄さんが何者なのか気になった。とりあえずこのお兄さんの正体について、私には予想もつかない。
「あの、面接をお願いしていたカドクラと申しますが」
アルバイト情報誌にそう言えと書いてあったので、とっさに口から出た。マニュアルを覚えるのは得意だが、私には生憎応用力がない。この場合、「こんばんは」とか気の利いた挨拶の一つでもつけるべきだったかもしれない。今となっては後の祭りだけれども。
「ああ、窺ってますよ、こちらへどうぞ」
酷く優雅な手付きで、手のひらを上に向けてさっきこの人が出てきた扉を示すとまた同じようににっこりと微笑んだ。
「よし」
なんだかんだ言って何度目かの「よし」を口にする。いや、初めてのことだと本当に緊張してしまうのだ。私のあがり性は正直半端ない。店の中を覗いてみると、まだオープン前で商品も陳列されていないコンビニというのは淋しいものだった。
本当にここにオープンするのだろうか、看板はあるがガランとしている店内の物寂しさったらない。
恐る恐る扉を開き、こんにちは、と声をかける。
時間を置いて、事務所と思しき扉が開いた。
眼鏡を掛けた冴えない風貌のオジサンを予想していたら、その予想はあえなく覆ることになる。
中から出てきたのは背丈は170より少し高いくらいだろうか、縁のない眼鏡を掛けた優男風の、知性と育ちのよさを漂わせたお兄さんだった。
しかもコンビニ店員らしからぬ、スーツにネクタイ姿だった。
家の近所のコンビニだといつも人の良さそうなおじさんが店長で切り盛りしているイメージがあるから尚更このスーツ姿のお兄さんが何者なのか気になった。とりあえずこのお兄さんの正体について、私には予想もつかない。
「あの、面接をお願いしていたカドクラと申しますが」
アルバイト情報誌にそう言えと書いてあったので、とっさに口から出た。マニュアルを覚えるのは得意だが、私には生憎応用力がない。この場合、「こんばんは」とか気の利いた挨拶の一つでもつけるべきだったかもしれない。今となっては後の祭りだけれども。
「ああ、窺ってますよ、こちらへどうぞ」
酷く優雅な手付きで、手のひらを上に向けてさっきこの人が出てきた扉を示すとまた同じようににっこりと微笑んだ。