太陽の家
タイヨウは焦点の定まらない目でこちらを見た。

「…来るな!」

ユキはイモ子を胸に強く抱き寄せながら、タイヨウから後ずさりした。

イモ子はユキの胸でただ泣いている。

「ど、どうしたの?」

両者が振り返ると、キャバとクモが困惑した表情で駆けつけてきた。

「何で、イモ子が泣いてるの?」

丁度、そこに空席のタクシーが通りかかった。

ユキはイモ子を抱えながらそのタクシーに合図した。

「悪い、キャバ。イモ子…頼む」

「えっ、何で?」

「イモ子、首絞められてるから、病院連れてって」

「首って?」

詳しく説明するのが面倒になったユキは、キャバを無理やりタクシーに押し込んだ。

「……おっちゃん、お願いね」

「はいよ」

運転手のおじさんにかるく会釈をしてドアを閉めた。

ひとり疑問顔のキャバをよそに、タクシーはそのまま発進した。


「何、この状況?」

リビングに戻り、3人はテーブルに腰掛けた。

「とりあえず……救急車呼ぶか」

「何で救急車?」

「タイヨウ頭にケガしてるから」

ユキはタイヨウを親指で指した。

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