極彩色アリス
扉の先に広がっていたのは青。
真っ青な壁紙に白い床に敷かれた藍色の絨毯。
窓が一つもなく息苦しさを感じた。
右の壁には六つの扉。
長い一本の廊下の先に佇んでいる人影が見えた。
その姿を見たとき、目を見開き身体中が鳥肌に覆い尽くされた。
天色のエプロンドレス。
セミロングの金髪を靡かせて振り向いた彼女は…、
【アリス】
大階段の正面に飾られていた肖像画そのままの彼女は真っ赤な瞳を揺らしながらこちらを見つめてきた。
虚ろで光が射さない瞳は赤というより柘榴に近い色合いだった。
『いけない子、四階に上がって来ちゃダメだよ?』
氷のように冷たく痛々しいソプラノの声色は私の心臓に鎖を巻き付けたように重くのし掛かってきた。
息を吸った瞬間、【アリス】は一瞬で私の前に移動してくると口が裂けそうなほどの不気味な笑みを浮かべて……、
私を扉が開けっ放しの階段に向かって突き落とした。