極彩色アリス

「お前、ちゃんと前見ないとあぶねぇぞ? そのせいでお前は尻餅ついたんだしな」

手を差し伸べられる。
普通なら取るのが礼儀なんだろうけど、私には優しさは逆効果なのをこいつは知らない。

手を乱暴に叩き落として自分で立ち上がる。
驚いて硬直している憤怒を睨み付けながら私は悪態をつく。

「触るな、気色悪い」

荷物を拾い上げ歩き出す。
階段を下りきった時上から罵声が聞こえた。
流石は憤怒。
普通の人なら怯えてしまうくらいの迫力があった。
でも、私には関係ない。

「待てよ。お前、それは礼儀知らずってやつなんじゃねぇの? 普通ぶつかったら謝るだろ。 こっちは善意で手まで出してやったのに」
「面倒臭いなぁ…。 あんただって謝ってないじゃん。 偽善者が何言っても偽善にしかならないのわからない?」

今の言葉に完全にキレたのか、すごい力で私の首を掴んできた。
そのまま持ち上げられて更に力を込められる。
…全く、厄介な上に面倒臭い男だな。

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