極彩色アリス

少し顔を歪める。
それを見逃さなかった暴食が嫉妬の不意をついて私を引き戻す。
嫉妬よりたくましくがっしりした腕に包まれて、傲慢との時に感じた暖かさを思い出した。
暖かい…、と思った次に嫉妬にはこの暖かさは無かったなと思った。

「嫌がってるだろ? 黒羽くん、無理矢理女の子を従わせようなんて男として最低だよ?」
「……………、う、るさ…、い…」

寂しそうに呟きながら私を見た。
その目は愛しさが込められていた。

小さなため息を漏らしながら嫉妬は目を閉じた。
そのまま私たちを見ることなく一階へ降りていってしまった。
その様子を見て暴食が頭を掻いた。
困ったような微笑みを浮かべながら階段を見つめていたが、私へと向き直ると今度は私の頭を撫でてきた。
パーカーの上からだから髪がくしゃくしゃに乱れてしまった。

不満の顔で見てやると柔らかな笑顔を浮かべながら私を見ていた。
大切なものを見るようなその目は私が苦手な瞳。
見ていられず視線を外すと手首に暖かさを感じた。

驚いて肩が跳ね上がった。
見ると暴食が赤くなってしまった手首を労るように指で撫でていた。
……なんか、変な感じ。
嫉妬がしたときは擽ったかったのに暴食はまた違う何かを感じる。

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