極彩色アリス

何をしても不満顔が直らないのを見た暴食はふー、と小さく息をはいた。
ちらりと見ると目が合い、微笑まれた。
こいつは他のやつらとは違って裏表が無く、純情なんだろう。
綺麗だからこそ、何か気づかないうちに罪を重ねているかもしれない。
でないと、こんな甘い奴がアリス候補者になるわけない。
……優しすぎるのも問題だ。

罪と分からず事を起こしてしまうことも有り得るのだから。

何だか、こうなる前の自分を鏡で見ているようで悪寒がしてくる。
何も分からないから、言われるまま…罪を重てそれが自分に帰ってくる。
人とは愚かな生き物だと熟(つくづく)思う。

……映し鏡は嫌いだ。

そう思うのと同時に手を払い除けていた。
一瞬だけ驚いた顔をした暴食は直ぐに私を抱き寄せた。
また、暖かい。
……冷たいことしか知らない私にとって、暖かいと言う感覚は体だけでなく頭まで動きを鈍くさせる。

だから、大人しくなるのかもしれない。
傲慢もそうだったけど、こいつも満足そうにこちらを見ながら頷いてくるのかもしれない。
普段は冷めている私を見て遊んでいるのだと思うと腹立たしいけど、怒る気はしなかった。

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