極彩色アリス

「……わからない」

必死に悩んだあげく出てきたのはその五文字の言葉だった。
元々言葉数が足りない私にとって感情の表現は難しい。
顔だって笑わないし、泣きもしない。
イラつけば少しは顔に出るだろうけど、他の奴等ほどしっかりと出ないだろう。

私の答えを聞いて暴食はまたうなり始める。
答にどう答えればいいのか迷っているようだ。
…なんだか、困らせちゃってるな。
普段ならそんな風に思ったりはしないけど今日は嫉妬から助けてもらったからかな。
ちょっと、申し訳無い。

謝るかどうか悩んでいると、暴食は掌に拳を叩いた。
ぽんっ、と言う効果音が適切か。
何かを閃いたように満足げに微笑みながら私の手を優しく取ると歩きだした。

訳も分からず暴食に連れて行かれるままついていく。
楽しそうに鼻歌を歌いながら歩く暴食に声をかけるのはなんだか躊躇われる。
…私と一緒にいて楽しいのかな…?

そう思うと目を伏せて口をつぐんでしまった。

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