極彩色アリス
ゆっくりと息を吐く。
止まっていた時間が動き出したような倦怠感に苛(さいな)まれた。
とても食事を続ける気分ではなくなり、一人、また一人と自分のお皿をもって洗い場に向かっていった。
残された嫉妬と私。
嫉妬は私が立つのを待っているように見えるが、そんなことお構い無しにその場に居続ける。
背もたれに寄りかかって先程の兎の言葉を頭のなかで繰り返していた。
「……………怠惰、………おれ…、」
「…?」
「絶対……、怠惰を……………、まもる…、」
守る…?
その言葉に過剰反応する。
私が嫌いな言葉だ。
相手を刺し殺せるくらいに睨み付けるが嫉妬は微動だにせず、こちらを見つめ返してくるくらいだ。
守って貰うほどひ弱ではないし、守られる意味が分からない。
こいつはなんで私にこんなに干渉してくるのだろう。
………鬱陶しい。
そう思うのと同時に立ち上がり、食事を片付けてダイニングを後にした。
椅子に座ったままこちらを見つめる嫉妬からの視線を振り切るように扉を乱暴に閉めた。
「………、絶対に、……守るよ、………、…、」
微かな声も聞こえないように、フードを深く被り直した。