レオニスの泪

内科で言われた時から。


ううん、それよりずっと前から。



息が吸いづらくて仕方なくなって、なんとかしなければ、と思ってはいた。



何が原因で、自分に何が起こっているのかもわからなかったけれど、神成と話すにつれて、自分自身が自分を責めて、追い込んでしまっているのかもしれないと気付いた。

気付いて…、そこで、治療を止めた。


止めた理由は…、なんだったっけ。






最初は嫌だった。


神成が嫌だった。本当なら他の誰かが良かった。


なのにどういう悪戯か、あれだけいる精神科医の中で、神成と当たった。


ただ話を聞いてくれるだけだけど、神成はいつも、欲しい言葉をくれた。

私が知らないだけで、必要な言葉を、くれた。


そんな神成が、嘘をついているようだと知って、嫌だと思った。



二度と会いたくないと思った。



だから、神成が、今申し出てくれた事は、私にとってマイナスではない。


それどころか、一番良い解決策のように思える。



…けど。
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