レオニスの泪
断ち切るような挨拶だったかもしれない。
けど、他に言いようが無い。
ぺこりと頭を下げて、顔を上げると、神成が無言で私を見つめていた。
「…じゃ、おやすみなさい」
真っ直ぐ過ぎる視線に、居た堪れなくなった私は、それだけ言うと回れ右する。
ーこれで、さよなら!
そう、固く心に決めたー
「…おやすみの前にー」
矢先。
「ひとつ一緒に探し物してくれない?」
「ーえ?」
逃げるように階段を駆け上ろうとした私だったが、お願いにも取れる神成の言葉に、つい訊き返してしまった。
振り返るのを待っていたかのように、神成は視線を私から空へと移す。
つられて私も空を見上げた。
「ー何を…?」
「ライオンの心臓」
「…へ…」
何をふざけて、と視線を神成にずらしたが、神成は真剣な顔をして空をじっと見つめている。
ーライオンの、、、心臓ってなんだ?
首を傾げながら、そういえば、さっき上から下りてきた時にも、空を見ていたな、と思い出す。