レオニスの泪
数分、真っ暗な空と黙って睨めっこしていた。
「…星、ですか?星なら、他が明るいからここだと適さないんじゃないですか。」
痺れを切らした私が問えば、神成は横目でちらりと私を見て。
「…このライオンは、太陽にくっついて動いてる。」
目を細めて笑った。
「太陽にくっついて…」
ーん?ってことは…
「見えないんじゃないですか??」
そんなんじゃ、探したってない筈だ。
憤慨する私と、神成は距離を縮めて。
「当たり」
視線だけで柔らかく私を捕らえた。
「獅子座はね、ヘルクレス座に退治されたって話だから、ヘルクレスが出てくる今の時期は、反対側に逃げてしまう、って言われてる。」
「何が言いたいんですか?」
ー早くさよならしないと。
眉間に皺を寄せて、半ば睨む形で彼を見返すけれど、神成は笑みを絶やさない。
「ライオンのように強いものだって、怖いものは怖いんだ。」