レオニスの泪




「神成先生!」




現在自分の中で、検索ランキングトップに入っている名前は、耳に入っただけで私の足を止め、発汗作用をもたらす。




「あはは!嫌そうな顔!今俺の事見て入るの止めようとしたでしょう?そうはいかせないっすよ!」



背中を向けてしまっているから、目で見ることはできないが、恐らく食堂に入りかけた所で、森の存在に気付いた神成が、回れ右して帰ろうとした所を、森に見つかった、と。まぁ、そんな所だろう。




「森さんグッジョブ!」



笹田に至っては、小声でガッツポーズを決めている。





「ほらほらほら!露骨に顔出さないで下さいよ!先生は精神科医なんですから!」




森の足音がやや遠退き、今度は二つになったそれがまた近付いてくる。

憶測だが、森が、嫌がる神成の腕を強引にひっぱってきたんじゃないかと思う。


同時に私の心拍数も、さっきの二倍以上になっている気がする。
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