レオニスの泪
朱李はいつも、自分の帰りを待っている。
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体調が悪く眠っている事もあったが。
言い様のない、不安が、予想が、自分を襲ってきて、心の中にも言葉が浮かばない程に焦って階段を上った。
鍵は開いてなくて、ガチャガチャと数回回して直ぐに自分の鍵を出し、穴に突っ込んだ。
中は真っ暗で、靴を脱ぐのもまどろっこしくなって、そのまま中に入り、電気を点ける。
「朱李!」
明るい蛍光灯が映し出したのは、残酷な光景だった。
散らばった薬。
そしてコップに入った水と。
色のない顔で、眠ったかのように、冷たい床の上、横たわる朱李の姿。
駆け巡るワードは、どうして。
どうして、どうして、どうして。
救急車のサイレンが聞こえて近付いてくるまで、僕はただただ医者として倣ったことを、続けて。
なんとか、朱李が戻ってきてくれないか、と。
願い続けていた。