レオニスの泪
「ママー…なんかあったの?」
翌朝。
一睡も出来なかった状態で、朝ご飯の支度をしていると、慧が心配そうに覗き込んできた。
脚に纏わりついて、ぎゅう、と抱き付いたり離れたりする。
「なんもないよー」
疲れた心を持て余しつつ、昨夜の事は考えない様にして、フライパンの中にあるオムレツに集中しようとする。
なんとかモチベーションを上げる為に明るく振る舞っているつもりなのに、意気消沈している事が息子にモロバレってどういうことだ。
情けなさ過ぎる。
「じゃ…お風邪、ひいたの?」
「ううん、そんなことないよ!元気だよー」
手を忙しなく動かしながら、答える。
「じゃぁ、、、お腹が痛いとか…」
「痛かったら、起きれないでしょ。さ、ほら!早く着替えて着替えて!」
「うーん…」
煮え切らない返事をしつつ、慧は私から一旦は離れて、椅子の上に出されている洋服に着替えに向かった。
ー仕事休みで良かった。
密かに安堵していた。
もし仕事だったとしたら、慧の事を怒鳴っていたかもしれないと思う。
それ位、追い込まれていた。