レオニスの泪
想いとは裏腹に、悔しい位、眩しい晴天。
「ぴっかぴか~!」
後ろではしゃぐ慧に、チクチク罪悪感を覚えながら自転車を走らせた。
慧とどこかへ行こうなんて余裕は、どこかに吹っ飛んでしまって、結局今日も、慧を保育所へと送る。
無理矢理どこかへ連れて行っても、きっと慧も自分も楽しめない結果になると予想出来た。
「おはようございます!」
「おはようございます。」
元気な挨拶と一緒に、先生達が出迎えてくれる。
「よろしくお願いします」
慧の荷物を教室まで運んで振り返ると、慧はしっかり笑って、いってらっしゃい、と言った。
その笑顔が、また、自分を刺し通すようで、辛かった。
「葉山さん」
教室で別れた為に、私が一人で階段を下り、出口に向かっていると、先生が追いかけて来る。
「あ、先生。」
「慧くん、随分しっかりしてきましたね。流石もう年長さんって感じ。」
「そうですか?あ、でも、しっかりしてくれないと、困ります。来年は小学校ですから。」
「あの慧くんが小学生なんて…早いですよねぇ。」
「本当ですね。」
慧は私が熱を出した時から、大分しっかりしてきて、私とあっさり離れる日も増えてきた。
友達との喧嘩も、小さいのは幾つかあるようだが、いつかのように大きなものはない。