レオニスの泪
その日の、絶不調といったらなかった。
世間から見れば、たかだか失恋。
私からすれば、予想外の感情が意思と関係無しに暴走してぶち壊したここ数年味わったことのなかった経験。いや、初体験。
落ち込み具合を考えれば、途中ブレーキをかけてたにせよ、本気だったんだと気付く。
目に痛い程の陽の光。
自転車に乗る気力も失せて、とぼとぼ家路に着きながら、さっきの、保育所の先生の話も引っかかるなぁと感じている。
けれど、自分の事で精一杯で、そこまで思考が回らない。
引っ張ってきた自転車を傍に停め、アパートの二階に上らず、そのまま、また当てもなくブラブラと歩き始める。
考えることは、昨夜のあの瞬間、あの表情、あの別れ。
神成に言われたー『ごめん』