幕末オオカミ 第三部 夢想散華編
「くそっ……仕方ねえ、ここは退却だ!」
総司が前線にいた兵士に指示を出すと、少しずつ伝令が伝わり、幕兵は退却しはじめた。
副長の体を背負い、総司が歩く。
人の姿になった平助くんが、それを手伝う。
あたしは地面に残された呪符を拾い上げた。
なんだろう……すごく嫌な予感がする。
ただ相手に苦痛を与えるだけの呪符を、わざわざ純血の忍が使うだろうか?
それなら、もっと他にも方法があるはず。
「楓!何してんだ、早く来い!」
「はーい!今行く!」
あたしは呪符を自分の護符に包み、懐に入れた。