幕末オオカミ 第三部 夢想散華編


ちなみに奥羽越列藩同盟とは、陸奥・出羽・越後の諸藩が新政府軍に対抗するために結成された同盟。


元々は会津藩に同情的だった諸藩が、朝敵となってしまった会津の赦免嘆願を目的として結んだ同盟だった。


しかし、それは薩長の新政権にあっさり拒否され、その後は新たな北部政権の確立を目的としているらしい。


もちろん新政府軍がそれを許すはずはなく、白河に攻めてきたという。


その守りについているのが、会津と仙台の連合軍だった。


「気をつけてね、平助くん」


「うん、ありがとう。
あ、そうだこれ。麦入りだけどお米とか味噌とか、鍋とか。土方さんから差し入れ」


平助が楓に大きな麻袋を渡す。

すると、楓の顔がぱっと輝いた。


「わあ、嬉しい!主食ができた!」


森にいる間は、森にあるモノしか食べられない。

米が大好きな楓は、飛び上がって喜んだ。


「じゃあね」


平助はこちらを見る。

けれど、俺がぼうっとしたまま返事をしないと、ため息をついてそのまま行ってしまった。


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