暴走族に愛された不登校女子。
「あぁ。お前か、明日の件はどうなった」
「順調に進みました! なので後は俺がやっておきます!」
「頼んだぜ」
惚れ惚れとして見ていると、智さんが耳打ちをしてきた。
「アイツ、凄いだろ?」
「本当に凄いや…」
「俺も、あんなにヤキモチ妬く直樹は見たことない」
智さんが苦笑して直樹を見つめた。
あたしも頬が緩んでいった。直樹は誰からも頼られて、本当に憧れる存在だ。
「何だよ、お前ら。また俺のいない間に…」
直樹がいつの間にか話を終えてこちらを見ていた。
その表情は怪訝そうだった。あたしと智さんはそれを見て、また笑ってしまった。
「直樹は…全くのガキだな」
「うっせぇよ」
智さんが直樹の肩を軽く叩いて「行こうか」と呟いた。
不機嫌そうな直樹も、すぐに笑顔が戻る。
校庭にバイクのエンジン音が響いてあたしは直樹の背中に抱きついた。