ふたりでひとつ

「飛鳥、好きな人いるの?」

単刀直入に聞いた
もともと私は遠まわしに
言えない性格だから…

「え??」

「誰??先輩??」

私がずいっと飛鳥を見つめて近づくと
飛鳥は少し動揺しているものの
顔色はなんとか変えずにしている
感じだった

「なんで芽衣が知ってるの?」

「咲良が言ってた。
なんでモテて、女の子と遊んでるのに
彼女つくらないんだろうって」

「…最悪」

「え?なんて?
てゆか女の子と遊んでるの??」

「なんでもないよ、
…それは言えない」

「飛鳥いつも隠す、
私になんで言ってくれないの??
私はいつも飛鳥にいってるのに」

「…ごめん」

兄は黙ってうつむくだけだ
そんなに私に言いたくないらしい

「私そんなに信用なかったんだ
飛鳥の恋は応援してあげたいのに!!
ばか、変態、最低だよ、飛鳥!!
私、そんな飛鳥は嫌い
…もういい、早くでていって」

そう言った。
言い過ぎたと思い、
はっとしたが遅かった

「嫌いなんて言わないで
俺、芽衣に嫌われたら死ぬ」

「信用してくれてないのに…」

「…っ、」

…突然、ぬくもりがおいかぶさってきた

「俺は芽衣のこと、信用してる、
芽衣には迷惑かけたくなかった」

飛鳥は私の手首を掴み、壁にあてて、
…そのまま、キスをした

あまりの出来事に頭がついていけない
今わかってるのは飛鳥がキスしている
ってことだけ

一瞬の時だったかと思わせるごとく
唇が離され、もう一度向き合った

「俺を嫌いにならないで」

「それってどういう…」
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