よくばりな恋
「翠、ちゃんと食ってる?軽すぎやろ。人にばっかり食わせてたらアカンやん」
大きなジャケットを着せられて、大きな背中に揺られて、暖かくてだんだん眠くなる。
「ごめんね・・・・・・・・・・カッコ悪・・・・・・・・・・」
「このままウチ行くぞ。弱ってるとき1人はしんどいやろ」
ふわふわ、ふわふわ・・・・・・・・・・
夢を見ていた。
お母さんの死後、熱を出して、1人で寝ていると診察の合間にお父さんが様子を見に来てくれる。額に手をあて熱を確かめ、くしゃくしゃと頭を撫でてからまた仕事に戻っていく。
たったそれだけのことが嬉しくて幸せで・・・・・・・・・・・・・・・。
あの頭を撫でてくれる優しい手が懐かしい。