こうべ物語
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海の先にはうっすらと靄がかかった淡路島が見える。
その淡路島を本州と繋げている明石海峡大橋。
本州側の脇にある海岸で、七海と麻里奈は腰掛けていた。
「僕は大学卒業したら、東京に行こうと思っているんだ。」
「東、京…。」
「海洋学者になりたいんだ。」
「魚が…、好きだから?」
東京と聞いて、神戸からの距離を頭に思い浮かべる。
「そう。僕は魚と海と共に生きていたいな、って。」
「私…。」
「もちろん、麻里奈ちゃんの事迎えて行くよ。約束したものね。」
屈託のない笑顔で七海が答える。
「海を見ていると落ち着くんだ。七海という名前だから海が好きなのか、海が好きだから七海という名前を授かったのか…。」
遠い目をしながら淡路島を眺める。
「私、七海って名前、とても素敵だと思うよ。」
「ありがとう。」