こうべ物語
「私もね、押部谷家の娘としてではなくて、押部谷麻里奈としてどう生きて行くか、必死に考えて行こうと思うんだ。自分で否定しても、やっぱり心のどこかで家柄に甘えているのかもしれない。結局はお父様に甘えていて頼っていて。七海君を見て思った。私の夢って何だろうって。何もないな、って。このままじゃ、駄目だって。」
「麻里奈ちゃんなら、強くなれるよ。」
「そう思う?」
「うん。」
七海が頷くと同時に首に腕を絡ませて思いきり抱きついた。
「七海君に言われると、勇気が出るし、頑張れる!」
「僕も、麻里奈ちゃんがいてくれるなら頑張れるよ。」
「…東京に行っても私の事忘れないでね。」
「もちろんだよ。」
「いつの日か…。」
耳元で囁く。
「神戸に帰って来てね。」
「うん。」
「必ずだよ。」
「うん。」