沖田総司と運命の駄犬




部屋に戻ると、梓が、横になっていた。



寝てるのか・・・。




沖田「梓?起きて!風邪引くよ?」



ユサユサ揺すると、コロンとこちらを向き、寝ぼけて、僕の足に頭を乗せてきた。



沖田「何で、僕が君に、膝枕してるんだよ!」



でも、あまりにも、幸せそうで、口を開けて、マヌケ面・・・。



沖田「ぷっ。年頃のおなごの色気とか、全くない。くくくっ。」




しばらく、そのままにして頭を撫でてみた。



お美代ちゃんとは違う気持ち。



これは、本当に犬とかを愛でる気持ちだ・・・。



しばらくすると、膝枕している所が、冷たい。



ん?



よく見ると、僕の袴によだれを大量に垂らしている。




沖田「はぁ・・・。やっぱり、わらしだ!」



僕は、思いっきり、足をどかした。



ゴンっ。



梓「ふあっ!」




ゴシゴシと目をこする梓。




梓「沖田先輩!って、あれ?沖田先輩、どうしたんですか?お漏らし?」




袴を見ると、僕のちょうど、股の所が濡れている。




沖田「これはね、君が、僕の膝で寝て、よだれを大量に垂らしたんだよ!」




梓「えぇぇ!?嘘!」



沖田「君の口にまだ、よだれ!」



梓「あ!」



梓は、ゴシゴシと口元を拭いた。




沖田「明日だけど、僕、出掛けるから、土方さんの所に行ってね?」



そう言うと、梓は、少し不安顔になる。




梓「どこか、行くんですか?」




沖田「お美代ちゃんと逢瀬!」




梓「そっか。デートなら、仕方ないです。」



そう言うと、梓は、シュンとした。




まるで、犬が、耳と尻尾を伏せているような・・・。




何、この罪悪感。



何も、僕は、悪いことしてないよ!




僕は、気持ちを切り替えて、明日の準備をした。
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