僕らはそうしてこうなった
クリスマス
僕らは泣いていた。今日はクリスマスだというのに お母さんと喧嘩してしまったのだ。
些細なことでお母さんと口論になり、何も考えずに家を飛びたしてきた。最後にお母さんは何かを叫んでいたが、聞かなかった。
…夜、時刻はとうに九時を超えて暗くなっていた。街は様々な飾り付けで盛られ、楽しそうな家族が笑顔で行き交っている。僕らも喧嘩さえしなければ今頃 笑顔で笑っていた。
その後悔と悔しさからまたボタボタと涙を引っ切り無しに垂れ流す。

今は12月、雪もたくさん降るなか 僕らは寒さに耐えきれず 近くにあった文房具店に入る。いつもここで鉛筆やノートを買いに来るため、馴染みがあり、店主とも仲が良かった。
「お、双子くんかね。いらっしゃい」
店主がこちらの存在に気付き、ニコリと微笑む、が、それと同時に僕らが泣いてることにハッと気付く。
「おやおや、泣いているのかい。めずらしいね。いつも仔犬みたいにキャンキャン吠えているのに。何かあったのかい?」
店主は優しかった。僕らを店の脇にある長い椅子に僕らを案内して座らせた。
「お母さんと喧嘩したんだ。僕らが悪い子だから」
僕らは鼻の奥をツーンとさせながら俯いた。
「そりゃあ大変だ。家出してきたんだろう?お母さんが心配するぞ」
「でも、帰るタイミングがわかんない」
「今すぐ帰れば間に合う。夜の街は危ないぞ、狼だって森から降りてくるぞ。サンタさんは寝ていない子にはプレゼントを持ってきてくれないぞ」
「プレゼントはいらない、お母さんと仲直りがしたい」
「それじゃあ尚更帰りなさい、それが1番だ」
文房具店の店主は穏やかな顔でニコッと微笑み、僕らの手にレモン味の飴玉と、少量のお菓子を握らせて、店の奥に戻っていった。
「でも、外は寒いだろ。雪が少しやんだら帰るといいよ」
僕らは顔を見合わせて店主にペコッと頭を下げた。
握られたお菓子はポケットに突っ込んだ。
僕らも落ち着いたし、そろそろ家に帰ることにした。

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