恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜



一向に学校に出て来る気配のない佳音が修学旅行に参加するつもりなのかどうか。それも悩ましいところだったが、そのことよりも古庄の気がかりの大半を占めているのは真琴のことだった。

そして、古庄はこの怖れを、とうとう自分の中だけで収めきれなくなってしまう。



週初めのこの日、修学旅行の打ち合わせをするため、小会議室には2年部の担任と旅行に同行する職員たちが集まり、話し合いが持たれた。

まず参加人数の確認がなされるときに、古庄は戸部から念を押される。


「森園佳音の参加の確認はいつ取れますか?とりあえず申し込んでおくことはできるけど、一旦申し込んでしまうと、参加しない場合でも、参加費の全額返還が出来なくなりますよ?」


これに対し、何とか佳音が参加できる可能性を残しておきたい古庄は、汲々としながら取って付けたような言い繕いをするしかない。


「実はまだ森園と連絡が取れてなくて…。でも、必ず参加させます。1日か2日中には必ず確認を取ってお答えします」


「…お願いします」


その会話の後、最終的な係の動きなどを確認していく作業になった。



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