恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜



今の古庄に何を言っても、彼は自分の意志を曲げてはくれないだろう。

真琴は何も言い返せなくなって、言葉の代わりにポロリと涙が零れ落ちた。

他の教員がたくさんいるこんな会議の場で泣きたくなんかなかったが、どうにも堪えきれず、涙が止まらなくなった。


真琴の涙を見て、古庄は我に返ったかのように口を閉ざし、とっさに後悔の色を浮かべた。

辺りはシーンと静まり返り、気まずい雰囲気が漂う。


その場に居合わせた誰もが、違和感を感じていた。

いつも協力し合い、仲の良かった二人が、こんなふうに言い合いをするなんて。

ましてや古庄の言動は、〝マタハラ〟と受け取られたり、真琴のプライバシーまでも侵害しているように思われるほど、激しいものだった。


でも、ここまで感情を吐露できるのも、プライバシーを共有する夫婦で、他人ではないからだ。
真琴と古庄は期せずして、学年部の教員達の目の前で、初めての〝夫婦げんか〟を大々的に繰り広げてしまった。


「さて、どうするかな?」


しばらくして、学年主任がそう問いかけてみたけれども、皆は一同に口を閉ざして、誰も発言しなかった。



< 142 / 343 >

この作品をシェア

pagetop