恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜




この事実を知ってしまうと、真琴の心にも重たい悩みを抱えることになる。
常に心配事が心に引っかかり、ビクビクと怯えて、毎日を送らねばならなくなる。


けれども、もし……、佳音が目撃したことを心の内に留めて、他言しないでいてくれれば…。
真琴は何も思い悩むことなく、何事もなかったように仕事に専念できる。

敢えて真琴に事実を告げることは、下手に彼女を気に病ませることにもなりかねない…。


古庄はそう考えて、真琴にはとりあえず昨日の出来事を伏せておくことにした。

それにきっと真琴ならば、もし秘密が露見したと知った時にも、きちんとした対応ができるはずだ…と、古庄は真琴の人間としての度量を信じた。



秘密を守れなくなることを承知で、それでも古庄をあの行為に駆り立てたもの…。

それはもちろん、真琴への想いを抑えきれなかったからだ。

最愛の真琴から初めて「好き」だと言われ、初めてキスを求められた。あの時の真琴の涙を思い出すと、切なさがこみ上げて体が震える。
今だって、すぐに真琴のアパートに引き返して、真琴をこの腕に抱きしめてキスをしたいくらいだ。



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