恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜



そして、もう一つ。
あの瞬間に、キスをやめなかった理由がある。

佳音があの場にいたことを知ったならば、キスをやめても真琴は不服に思わなかっただろう。逆に、やめようとしたはずだ。

しかし、佳音に見られていても「構わない」と思ったのは、佳音に真琴の存在を知らしめるためだ。

そして…、佳音に自分への想いを断ち切らせるためだった。


ああでもしないと、佳音自身がはまっている苦しい輪廻から抜け出せないと思ったからだ。



昨日の出来事は、間違いなく佳音を深く傷つけただろう。

高校生の未熟な心には、その衝撃は強すぎたかもしれない。
それこそ、不安と寂しさで病み、腫れ上がっている佳音の心は、本当に壊れてしまうかもしれない…。


古庄が真琴の想いで満たされて、愛を重ねていた夜の間…、佳音は何を思って過ごしていたのだろう…。

もしかして、再び不登校に…ではなく、もう二度と、学校へは来なくなってしまう恐れもある…。



古庄は自転車を走らせながら、早春の朝の冷たい空気さえも感じないほど、深い思考を巡らせた。

けれども、いくら考えても明確な正解が出てくるものではない。
いずれにせよ、今どれだけ悶々と思い悩んでも、佳音の出方次第でその対応は変わってくる。



< 266 / 343 >

この作品をシェア

pagetop