恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜




――とにかく今日、森園の顔を見て…それからだ…!



大事なのは、佳音のことを一人の女性として愛せなくても、一人の人間として大切に思い、佳音が生きていくための手助けは惜しまないということを、佳音に解ってもらうことだ。

そう考えながら、古庄は校門に入り、まだ冬枯れのしだれ桜の下を滑るように走り抜けた。









教室に置いたままだった自分の荷物を取りに戻って…、そこで佳音が見てしまったもの…。


恋い慕っている古庄が、真琴を抱きしめ、キスをする光景を目の当たりにした佳音の衝撃は、計り知れないものだった。

自分の中の全ての感覚がなくなり、目の前で起こっていることが現実のものだと、佳音はすぐに理解が出来なかった。


あれは、紛れもなく愛し合っている者同士が交わす、真剣で激しく深い想いが込められているキス――。


古庄とは確かに目が合ったのに、まるで自分の存在など初めからなかったかのように、古庄は真琴を抱擁し、求め合うようなキスは続けられた。


佳音はもう、そこにはいられなくなり、自分の荷物もそのままにそっと教室から立ち去った。



< 267 / 343 >

この作品をシェア

pagetop