恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「そうよ。全校に広まっちゃうと、大騒ぎで大変なことになって、先生たち、困ってしまうでしょ?」
「だから、こんな風に言い触らしたりしたりしないで。賀川先生は3月いっぱいで休みに入るらしいから、それまでは今まで通り、古庄先生と仕事させてあげようよ?」
口々にそう言って事情を説明されて、佳音の目にはジワリと涙がにじみ出てきた。
これでは、自分一人が、駄々をこねている物分かりの悪い子どもみたいだ。
自分のやってしまったことが、とても無意味で、とても愚かなことのように思えてくる…。
泣き始めた佳音をどうするべきか、女の子たちはお互いの顔を見合わせて、意志を通わせた。
遠くの教室で、生徒たちが席を立って挨拶をし、朝礼が始まる音が響いてくる。
もう間もなくこの教室にも、古庄がやって来るだろう。
「…佳音ちゃん、ちょっとこっち来て……」
一人がそっと佳音の背中を押して、促した。後の二人も佳音の両腕を抱えるように、ゆっくり教壇から降りて、教室の外へと向かう。
他のクラスメートたちは、ただ黙ってその様子を見守った。