恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
職員朝礼が済んで、担任たちが出席簿を抱えて各々のホームルームへと向かう列の中。古庄は真琴の後姿を見つけた。
お腹が大きくなって重いだけではなく、心なしかいつもより足取りも重い感じを見受けながら、小走りで真琴に追いつく。
「今日は元気がないみたいだけど、大丈夫かい?」
後ろから覗きこまれて、少しボーっとしていた真琴はハッと驚いた顔をする。
「…だっ、大丈夫です。ちょっと今日は少し眠いだけです」
真琴はその体の中に残る疲労を隠すように、少し早足になりながら古庄に答えた。
「眠い?昨日夜更かしでもしたのかい?」
職場での普通の会話として、そのように問われて、真琴はグッと言葉を呑み込んで古庄を見上げた。
その“夜更かし”の相手をしていたのは、誰でもない古庄だ。何をしていたのかは、古庄が一番知っているはずだ。
真琴が真っ赤になって何も言葉が返せないのを見て、古庄はフッと笑いをもらす。
「君は妊婦なのに、夜遅くまで頑張りすぎなんだよ。お腹の赤ちゃんもびっくりしてるんじゃないのか?」
その意味深な言葉に、思わず真琴は体をすくめて跳び上がる。